そこには、妻の振舞のあざやかさがひとり取残されていた_日语外文翻译
编 辑:日语论文网发布时间:2018-10-21

译文:

妻子纤细的背影和甜美的联想相连结,在他的胸中深处微微萌生出一丝温热的痛楚,他就这样四处地奔波着。他那来回穿梭于家,医院和学校这三个地方的足迹,又走过了河沟边的弯道。从那边爬过山坡的话,便是医院。在那附近漫步着,忽然他的时间好像在冰冷的秋光下凝结住,永远地停驻了。再走不久的话,便是医院那漫长的走廊(虽然那并不是梦中的走廊);还有那,他每次到来或是离开的时候总能遇到的中风病人的身影(冰冷寒雨的日子里那人也在,那披着浴衣,总有些夸张的身形,好像用一只手就能晃动);还有那,从联合病房的门框里挤出来的,那个瘦弱女人的蜡黄色的面容;还有那再拐个弯就能听见的,医院厨房里轰轰作响的盘子声......回到家后再回顾起来这些医院风光的话,就会让人想起了那半梦半醒间的印象亦或是那私下里特别喜爱的书中的场景。

他的妻子顺手把一件华丽的羽织披在了白色睡衣上,说道“就目送你到那边吧。”俩人一同走到了外边走廊的拐角处,“你回去吧。”刚说出口,他就感到脑后的头发好像被什么东西给揪着,回头一看,在那边,只留下妻子那优雅而又孤独的身影。

就一个人,也没添置什么物什,在那个房间生活的妻子,总会在他到来的时候,给他讲一些新奇好玩的事情。

“我烧已经全退了,津轻先生说:‘这药可是很管用的呢’。”妻子这样说着,顺手把黑色的小药粒递给他看,“他说:‘过不了多久,气胸的症状也会好的,但是,因为有糖尿病……’”妻子摆着一张仔细的脸。“医生说:‘尿检恐怕会很费劲的’。”

在妻子的述说中,就连津轻医生的动作都好像能够浮现在眼前。……明亮的床边,静静地测量着烧杯刻度的津轻医生,时不时拿起笔,在纸片上写着什么。这一幕,每一天,同一个时刻,都在以同样的姿势持续着。某一天,不知怎么了,烧杯里的尿液都蒸发了,医生眼前只剩下沾满露珠的大波斯菊。医生高兴的笑了。妻子也完全恢复了。

“我都懂,我都懂的“妻子在他进入房间后,就迫不及待地开口说。

“从现在开始,我自己就能知道病情,怎么做我都懂”妻子睁大了眼睛。

“我刚刚舔了舔尿,实在是太甜了,这糖分可是完完全全地都排出来了啊”

妻子苦笑了一声。但是妻子笑着的脸上,不知为何突然胀起了痛苦。医院的医生们陆陆续续地被召集过来,津轻医生也不能保证一直都是他来给妻子看病。因为要接受三个月糖尿病治疗而住院的妻子,把每天三次的试验餐都认真仔细地记在笔记本上。


原文:

胸の奥に軽く生暖かい疼きを感じながら、彼は繊細なものの翳や、甘美な聯想にとり縋るように、歩き廻っていた。家と病院と学校と、その三つの間を往ったり来たりする靴が、溝に添う曲り角を歩いていた。そこから坂道を登って行けば病院だったが、その辺を歩いている時、ふと彼の時間は冷やかな秋の光で結晶し、永遠によって貫かれているような気がした。それから、病院の長い長い廊下や、(それは夢のなかの廊下ではなかったが)大概、彼が行くときか帰りかにきっと出逢う中風患者の姿、(冷たい雨の日も浴衣がけで何やら大袈裟な身振りで、可憐に片手を震わせていた)合同病室の扉の方から喰み出している痩せた女の黄色い顔、一つの角を曲ると忽ち轟然とひびいて来る庖厨部の皿の音、――そうした病院の風景を家に帰って振返ってみると、彼には半分夢のなかの印象か、ひそかに愛読している書物のなかにある情景のようにおもえた。

だが、彼の妻が白い寝巻の上にパッと派手な羽織をひっかけ、「その辺まで見送ってあげましょう」と、外の廊下の曲り角まで一緒について来て、「ここでおわかれ」と云った時、彼はかすかに後髪を牽かれるようなおもいがした。そこには、妻の振舞のあざやかさがひとり取残されていた。

ひとりで、附添も置かず、その部屋で暮している妻は、彼が訪れて行くたびに、何かパッと新鮮な閃きをつたえた。

「熱はもうすっかり退がりました。津軽先生が、この薬とてもよく効くとおっしゃるの」そう云って黒い小粒の薬を彼に見せながら、「そのうち気胸もしてみようかとおっしゃるの、でも、糖尿の方があるので……」と、妻は仔細そうな顔をする。「先生も尿の検査にはなかなか骨が折れるとおっしゃるの」

彼は妻の口振りから津軽先生の動作まで目に浮ぶようであった。……明るい窓辺で、静かにグラスの目盛を測っている津軽先生は、時々ペンを執って、何か紙片に書込んでいる。それは毎日、同じ時刻に同じ姿勢で確実に続けられて行く。と、ある日、どうしたことかグラスの尿はすべて青空に蒸発し、先生の眼前には露に揺らぐコスモスの花ばかりがある。先生はうれしげに笑う。妻はすっかり恢復しているのだった。

「わかったの、わかったのよ」

妻は彼が部屋に這入って行くと、待兼ねていたように口をきった。

「もうこれからは、独りで病気の加減を知ることが出来そうよ、どうすればいいかわかって」そう云って妻は大きな眼をみはった。

「尿を舐めてみたの、すると、とてもあまかった。糖がすっかり出てしまうのね」

妻はさびしげに笑った。だが、笑う妻の顔には悲痛がピンと漲っていた。この病院でも医者はつぎつぎに召集されていたし、津軽先生もいつまでも妻をみてくれるとは請合えなかった。三カ月の予定で糖尿の療法を身につけるため入院した妻は、毎日三度の試験食を丹念に手帳に書きとめているのだった。


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