幻のちまたに離別の泪をそゝく_日语外文翻译
编 辑:日语论文网发布时间:2018-10-21

译文:

他轻轻地打开了窗边的门扉,一如既往的阳台映入眼帘。冰冷的空气撞击着脸颊,一探头就能看见的法国梧桐也被染上了一抹秋色。看那,好像有什么闪着光的东西在飘动,那是无数的落叶在瞳孔深处不停地飘旋。现在从楼房间的阴影中,走出了一群见习护士,她们的身影一个接一个地消失在后门中。那些好像是要回宿舍的女生们,她们那欢快的步伐里好像藏着深情的祈祷。这所大医院的一切不禁被他幻想成一座寺庙。高台上的伽蓝大佛,面朝无边无际的天空,这难道不是在端坐祷告吗?明朗的空气中,仿佛飘动着薄薄的雾霭,在面前弥漫开来。不久他便回到了病房。妻子一直紧闭的双眼唰地一下睁开了“该过去看看了吧”妻子满脸忧愁地问道。那天,津轻医生说他有话要讲,所以便约定在外来患者休息室的前面碰面。

他坐在走廊的椅子上,弓着腰等待着津轻医生。约定的时间到了,可是医生的身影并没有出现。不一会儿,走廊便变得静悄悄地,渐渐阴森起来。在那明显变暗的走廊里,他还是至始至终地等待着。虽然不好的预感频频向他袭来,但在这段等待的时间里,他已经什么都不敢想了。他只是,感觉到黑暗,阴冷,一阵阵刺痛,就好像被世间的一切所遗弃,被抛弃在极地的尽头。

“对不起,我迟到了。”忽然津轻医生出现在了他的眼前。

“召人开会花了点时间”医生微笑着,一脸和蔼。突然,他的眼前一片漆黑,被抛弃的感觉又一次猛地爆发开来。好像不知是谁,带着个女人,在对面的走廊那,偷偷地朝这儿瞥了一眼。

“是胰岛素的事吧,那药你那边弄不到手吗?“

“好像真没有办法。”

他用扭曲的声音悲伤地回应着。就算是在这大医院里,这种药也不是很容易就能弄得到,但只要有那注射药的话,怎么说也能对妻子的病起点作用。

“这样啊,那我出去之后,接下来就去办个手续,看看能不能直接到这来取吧。”医生这样说着,但他已经有想要起身离开的意思了。他紧紧揪住医生,让人感到他有着无数想要询问,想要倾诉的事情,但是他却是一言不发。

“那么,我就先告辞了,请保重”医生微微颔首后,便踏着无声的脚步起身离开了。

白天变短了,从医院里出来,四周已经慢慢地昏暗下来,那景象勾起了他落魄潦倒的回忆。从昏暗的医院走廊出来,走到外边的大门时,对面的天空,突然明亮起来。但是,从那边的山坡下去,走到桥边的途中,薄雾弥漫的街道已经变得空荡荡的。所有的店铺都早早地锁上了门,人们都在默不作声地急着往家赶。偶尔碰到有打着灯的书店的话,他就会路过看两眼书架。他起初,是以初到这街镇的流浪者的心态,一个人缓缓地漫步。就这样地走着的时候,好像有什么东西在附近催生着。落日下迷失道路的旅人的故事,他在很久以前还是孩童的时候,就常常听说的那些童话里出现的,伴随着夕阳日落而悄悄靠近的魔物的样子,像这样的各种各样令人毛骨悚然的情绪,不知道从哪里的远方,一直不断地涌向并混入这条巷子。

……弥生(三月)末七日,曙空胧胧,月在明,光略收。富士山峰隐幽在望中。心底虚虚,终不知何时再见上野,谷中之樱花梢栄。睦密之友宵时集而登舟相送。至千住一地离船折岸。一念前路三千里。遂思神郁暗,且向如幻俗港洒落离别泪。

他一边走着,一边吟诵着《奥之细道》的一节。这是在妻子的身边,暗暗默诵给她听的诗词,同样也是能支撑自己孱弱的心的祈愿。

……且向如幻俗港洒落离别泪。

现在,人们络绎不绝地,向着眼前那通向车站的小路,走去。


原文:

彼はそっと窓の方の扉をあけて、いつものベランダに出てみた。冷たい空気が頬にあたり、すぐ真下に見える鈴懸の並木がはっと色づいていた。と、何かヒラヒラするものがうごき、無数の落葉が眼の奥で渦巻いた。いま建物の蔭から、見習看護婦の群が現れると、つぎつぎに裏門の方へ消えて行くのだった。その宿舎へ帰って行くらしい少女たちの賑やかな足並は、次第にやさしい祈りを含んでいるようにおもえた。と、この大きな病院全体が、ふと彼には寺院の幻想となっていた。高台の上に建つこの大伽藍は、はてしない天にむかって、じっと祈りを捧げているのではないか。明るい空気のなかに、かすかな靄が顫えながら立罩めてくるようだった。やがて彼は病室へ戻って来た。すると、妻はいままで閉じていた眼をパッと見ひらいた。「行ってみる時刻でしょう」と妻は愁わしげに云う。その日、津軽先生から話があるというので、外来患者控室の前で逢うことになっていた。 彼は廊下の椅子に腰を下ろして待った。約束の時刻は来ていたが先生の姿は見えなかった。すぐ目の前を、医者や看護婦や医学生たちが、いく人もいく人も通りすぎて行った。やがて廊下はひっそりとして、冷え冷えして来た。めっきり暗くなった廊下で彼はいつまでも待った。よくない予感がしきりにしていたが、そうして待たされているうちに、もう彼は何も考えようとはしなかった。ただ、この世の一切から見離されて、極地のはてに、置きざりにされたような、暗い、冷たい、突き刺すような感覚があった。

「遅くなりました」ふと目の前に津軽先生の姿が現れた。

「召集がかかりましたので」先生は笑いながら穏やかな顔つきであった。急に彼は眼の前が真暗になり、置きざりにされている感覚がまたパッと大きく口を開いた。誰か女のつれが向うの廊下からちらとこちらを覗いたようであった。

「インシュリンのことでしたね、あの薬はあなたの方では手に這入りませんか」

「まるで、あてがないのです」

 彼は歪んだ声で悲しそうに応えた。その大きな病院でも今は容易にそれが得られなかったが、その注射薬がなければ、妻の病は到底助からないのであった。

「そうですか、それでは僕が出て行ったあとも、引きつづいて、ここへ取寄せるように手筈しておきましょう」

 そういって先生はもう立去りそうな気配であった。彼はとり縋って、何かもっと訊ねたいことや、訴えたいものを感じながらも、押黙っていた。

「それでは失礼します、お大切に」先生は軽く頷きながら静かな足どりで立去ってしまった。

 日が短くなっていた。病院を出て家に戻って来るまでに、あたりは見る見るうちに薄暗くなってゆき、それが落魄のおもいをそそるのでもあった。薄暗い病院の廊下から表玄関へ出ると、パッと向うの空は明るかった。だが、そこの坂を下って、橋のところまで行くうちに、靄につつまれた街は刻々にうつろって行く。どこの店でも早くから戸を鎖ざし、人々は黙々と家路に急いでいた。たまに灯をつけた書店があると、彼は立寄って書棚を眺めた。彼ははじめて、この街を訪れた漂泊者のような気持で、ひとりゆっくりと歩いていた。そうしているうちにも、何か急きたてるようなものがあたりにあった。日が暮れて路を見失った旅人の話、むかし彼が子供の頃よくきかされたお伽噺に出てくる夕暮、日没とともに忍びよる魔ものの姿、そうした、さまざまの脅え心地が、どこか遠くからじっと、この巷にも紛れ込んでくるのではあるまいか。

……弥生も末の七日明ほのゝ空朧々として月は在明にて光をさまれる物から不二の峯幽にみえて上野谷中の花の梢又いつかはと心ほそしむつましきかきりは宵よりつとひて舟に乗て送る千しゆと云所にて船をあかれは前途三千里のおもひ胸にふさかりて幻のちまたに離別の泪をそゝく

彼は歩きながら『奥の細道』の一節を暗誦していた。これは妻のかたわらで暗誦してきかせたこともあるのだが、弱い己れの心を支えようとする祈りでもあった。

……幻のちまたに離別の泪をそゝく

今も目の前を電車駅に通じる小路へ、人はぞろぞろと続いて行った。


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