『東慶寺花だより』に見る縁切寺の成立と衰退[日语论文]

要旨

近来舞台化、映画化が盛んになる。縁切寺、あるいは駆け込み寺に関するものは更に広く知られるようになってきた。これは日本の文化財の一つであり、見逃すことができないという存在である。

『東慶寺花だより』はそれについてもっとも知られる作品として、日本文学研究において大切な意義と価値が持っていると考えられている。その作者——井上ひさしは幾多の実例の研究に基づいて、作品を作成したというわけである。井上氏は優れた小説家、劇作家として活躍している。その腕前は言うまでもない。小説でありながら、その中の文化的な要素が無視できない。これが原因で、日本だけではなく、中国における古代文化研究にも重大な意義を与えている。しかしながら、歴史は止まられない。幕府の更替につれて、駆け込み寺の地位も変わっている。

注意していただきたいのは、縁切りという作法は江戸時代以降、続けることができず、だんだん廃止されていて、もはや幕府に承認されないという点である。その時代では、縁切寺の衰退は避けられない。1808年から1830年の23年間、寺法離縁と内済離縁が７対７という割合であった。寺法手続きが整備された文化・文政の後、1831年から1870年の30年間では、寺法離縁4件に対し、内済離縁が123件となり、圧倒的に多いということが分かった。『東慶寺花だより』において、それも言及した。本稿は実例の比較を通じて、日本民衆の結婚観などに基づいて、縁切寺の成立と衰退の原因について展開したものである。

キーワード：東慶寺　　駆け込み　  江戸　　女性