谷崎潤一郎作品における美意識—『細雪』を中心に—_日语论文

要旨

谷崎潤一郎は日本耽美主義文学の代表作家である。創作生涯が長くて明治、大正、昭和の三つの時代にわたる55年の創作歴を持つ。個人の美学観も官能美からロマンチックな耽美に転向してから日本の古典に復帰した。1923年の関東大震災の後、関西に移住し、魅力に満ちた文化に深く引きつけられるので日本伝統に復帰し、『春琴抄』や『細雪』などの作品を作り、古典的な復帰を遂げた創作風格を生み出した。『細雪』は、日本伝統に復帰する名作として、谷崎文学の中で日本の伝統的な美しさを示す頂上作とされていた。

本稿は、具体的な作品『細雪』に描かれている人、事、物の視点から作品における伝統的な美しさへの復帰を考察したことをもとに、谷崎潤一郎の美意識を検討した。そして他の時期の創作との比較を通して、谷崎潤一郎の美学意識の変化や発展を探究し、そのうえ、谷崎潤一郎の人生経験と創作の背景に合わせて、その原因を分析してみた。

谷崎潤一郎は一生、耽美主義の文学の境に固守していたのに、彼の美意識はいつも変わらないものではない。本稿は以上の研究により、『細雪』における作家の美学観を明らかにしてみた上に、美意識の変化した原因についても探究してみた。谷崎の美学観の形成は、作家の創作の理想と現実を統一する過程である。出身や環境や経歴が彼の性格、人生観、美意識、作風などには影響をもたらした。

キーワード：谷崎潤一郎、細雪、美意識、日本美、伝統

目次

はじめに 1

1　美意識についての先行研究 1

1.1日本人の美意識 2

1.2谷崎潤一郎の美意識 2

2　谷崎潤一郎と『細雪』 4

2.1谷崎潤一郎の生涯 4

2.2作品『細雪』の周辺 5

2.2.1創作背景 5

2.2.2あらすじ 5

2.2.3日本近代文学における地位 6

3　『細雪』における日本美 7

3.1女性美 7

3.1.1真実な長女鶴子 7

3.1.2理想的な奥さん幸子 7

3.1.3「永遠の女性」雪子 8

3.1.4美の世界を離れた妙子 9

3.2自然美 10

3.2.1関西の風土 11

3.2.2関西の料理 12

3.3芸術美 13

4　谷崎の美意識の発展と変化 16

4.1『刺青』から『細雪』まで 16

4.1.1『刺青』における美意識 16

4.1.2日本古典への回帰 17

4.2美意識の形成と変化原因 19

4.2.1美意識の形成原因 19

4.2.2美意識の変化原因 20

おわりに 21

参考文献 22

謝辞 24