堀辰雄の作品における死生観についての考察─『風立ちぬ』を中心に_日语论文

要旨

堀辰雄は昭和時期の文壇で大きな活躍をした新心理主義の代表作家である。近現代社会の激しい動きの中にいるにもかかわらず、文学者である堀辰雄は繊細な手法で、人々の心を鮮明に映り出す真実の作品を数多く創作した。

堀辰雄が大きな活躍した昭和初期は、戦争の恐怖に支配された時代である。しかし、そのような時代に作られた堀氏の作品は時代の影響を一切受けずに見える。世間の喧騒から離れ、時代に支配されない純粋なラブストーリーを読者に伝えた。世間の喧騒から遠く離れて、自分の心の世界を築いた作家であるが、その彼の大半生は、病魔と闘ったり、周囲の家族や友人が次々と離れていったりする別れの苦しみにも耐えなければならない。彼が生と死をより徹底させ、独特の体験をしたのは、このような並外れた経験であった。自分の経験をもとにした作品『風立ちぬ』は、堀辰雄と彼の死生観をよりよく理解することができる。

本論は、堀辰雄の『風立ちぬ』における死、生に関する部分を取り上げ、先行研究を踏まえて、堀辰雄の死生観はいかに「生」と「死」によって反映されたか、またその死生観はどんな変化を果たしたのかを考察してみる。

本論は六つの部分から構成されている。第一章ははじめに。第二章は堀辰雄の死生観に関する先行研究、研究の目的と問題提起からなっている。第三章は堀辰雄の生い立ちとその作品『風立ちぬ』の成り立ちを分かりやすく紹介する。第四章はテキスト分析をもとに、恋人同士の闘病生活から見る死生観、第五章は堀辰雄の死生観と伝統的な死生観の相違について考察してみる。第六章はまとめと今後の課題である。

キーワード：堀辰雄　　風立ちぬ　　死生観

目次

1 はじめに 1

2 先行研究 1

2.1 日本側の研究 1

2.2 中国側の研究 2

2.3 問題提起 3

3 堀辰雄と『風立ちぬ』 3

3.1 堀辰雄の生い立ちとその創作のきっかけ 3

3.1.1 生い立ち 3

3.1.2 創作のきっかけ 3

3.2 小説の成り立ち 5

4 『風立ちぬ』から見る死生観 6

4.1 春と冬における「私」心境の変化 6

4.2 節子の言葉からうかがえる「生」への希望 6

4.3 まわりの描写から見る死から生への変化 7

5 堀辰雄の死生観 9

5.1 死生観の概観――日本における伝統的な死生観 9

5.2 堀辰雄の死生観――「死」の覚悟から「生」の希望に変わる 10

6 まとめと今後の課題 13

参考文献 15

謝辞 16