『美しさと哀しみと』から見る川端康成の美意識_日语论文

要旨

日本最古の仏教説話集である『日本霊異記』には、日本人の異界観(他界観とも呼ばれる)が見られる。こうした他界観には、人間の現世と他界に対する時空の観念が含まれている。『日本霊異記』は仏教説話集である一方、日本の土着宗教である神道の理念の影響も受けているので、神道と仏教が融合して生まれた作品だとも言えよう。その中に見られる他界についての空間意識は、日本の宗教の発展経緯、とりわけ神仏習合の経緯を反映していると考えられている。そのため、『日本霊異記』における空間意識に関する研究は日本の宗教の特徴への理解を深めることができる。

『日本霊異記』に関する先行研究は、冥界の表象、現世と空間的な関係という空間意識に言及しているが、他界を巡る具体的な空間意識の特徴を明らかにする先行研究は少くない。

本研究は、先行研究を踏まえ、『日本霊異記』における空間意識を深く掘り下げていくことになる。第一章では『日本霊異記』のあらすじ、創作背景と文学地位を紹介する。第二章から第三四章まで、それぞれ他界と現世との対立、他界と現世との連続、山中他界観を検討することによって、他界に関する空間意識の特徴を明らかにする。第五章では、更にこうした空間意識が形成した原因についても研究を行うことになる。

キーワード：『日本霊異記』　空間意識　他界 境　対立　連続

目次

はじめに 1

1．『日本霊異記』について 1

1.1　『日本霊異記』とは 1

1.2  『日本霊異記』の創作背景と文学地位 2

2．他界と現世との対立 2

3. 他界と現世との連続 4

3.1　現世と連続した地平の構造をなした他界 4

3.2　現世と他界の空間的距離 5

3.3　人間の世界と他界と連続した境目 5

3.4　他界の方角 6

4.山中他界観 6

4.1　『日本霊異記』における山中他界 6

4.2　日本の文学とお祭りに見られる山中他界観 6

5．『日本霊異記』における空間意識の形成原因 7

5.1　中国古来の道教と民間伝説の影響 7

5.2　日本古来の神道における他界観の影響 7

おわりに 8

参考文献 9

謝辞 10